英語のわからん高専生がMITで登壇した話
米国マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ工科大学(MIT: Massachusetts Institute of Technology)は,世界大学ランキングにおいて1位の評価を受ける(QS調べ)世界最高の大学の一つだ.世界有数のスタートアップエコシステムの主軸となっている大学で,様々な国籍の人々が日々研究開発やその事業化,スタートアップに全力を注いでいる.
そんな大学の一講義室で100人ほどのオーディエンスを前にして登壇する機会があった.登壇と言っても,MITのアントレプレナーシップ教育の中心機関であるMARTIN TRUST CENTERで開催されるピッチイベントに参加したという話.
One of our most popular events! Pitch2Match where students (from many Boston schools, not just MIT) have 60 seconds and 1 slide to pitch their venture or idea or skills followed by networking and, eventually, future unicorns! 🦄 pic.twitter.com/GkbkEnDcBe
— Martin Trust Center for MIT Entrepreneurship (@EshipMIT) 2020年3月4日
「Pitch2Match」はMITの学生たちの間で最も人気のあるイベントの一つで,参加者が1枚のスライドと1分間のピッチで持ち込んだビジネスアイデアやプランをアピールする.参加者はほとんどがMITの学生だが,門戸は幅広く開かれており「奈良高専」の名前でも参加することができる.今回の開催では日本の学校からの参加者は「九州大学」のインド人Adiと「奈良高専」の僕の2名だった.
僕の英語力で言うとリスニングが壊滅的,単語力が壊滅的,もうその辺の中学生に英語力で負けているレベルだったが,そこは高専生.テスト範囲のように決まった英文を丸覚えするのは大の得意.せっかく来たんだしやってみるかということで個人的に申し込みを終え,早速日本のGEIOTやNBKで優勝したネタをコンパクトにまとめてGoogle翻訳に投入.出てきたスクリプトをAdiにチェックしてもらって暗記の作業に入った.
会場はMITの講義室みたいな部屋で全体のオーディエンスは100人程度だったかな.プレゼンターは30人強でほとんどがMIT生.皆が1分間,多様なビジネスアイデア,多様なスライドデザインを駆使してプレゼンを終えていく.登壇はファーストネームの出席番号順だったので「A」diは早々に自らの鮮やかな発表を終え,「S」の僕は一人で緊張.結果的に,ド忘れを頻発して原稿にない文章ねじこんだりしてグッタグタの英語プレゼンを終えた.笑
退場の寸前,取りまとめのTrish教授が何やら英語で呼び止めてくれた.友達に訳を聞いてみると「勇気を出したあなたに,日本語でプレゼンする1分間をあげましょう!」とのこと.
ええ!?
突然会場がヒートアップし,壇上に戻る僕.でも日本語でのトークならそれこそ独壇場.好きな食べ物の話から始めて,今のプレゼンのリテイクを1分弱日本語でお話しさせてもらった.会場のほとんどの人は意味がわかってなかったと思うけど,それでも「CheeseたっぷりのPizza」なんかの単語を聞き取って笑ってくれた人が多かったのは本当に嬉しかった.結局会場は笑いと拍手に包まれ,僕はrockstarになってしまったのだった.
席に戻る時も多くのMIT生がハイタッチの手を差し伸べてくれたし,本当にいい機会に恵まれた.のちのち聞くと,このイベントで追加の時間をもらったり日本語でプレゼンした人がいた事はこれまでにないらしい.そして実はこの時,この日のrockstarになれた(rockstarという評価を最初にしてくれたのはAdi)ことは,翌日の本番のプレゼンテーションで大きな意味を持つことになる.
今日はここまで.とりあえずやってみるもんだ、という大事なことを学べた素敵な思い出を日記的にまとめてみた.またボストンの街について別記事で書こうと思う.
関係者の皆様,本当にありがとうございました.