47都道府県"まほろば"探訪記
はじめに:"まほろば"とは
「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の日本の古語(Wikipediaより)で,古事記内で景行天皇がかつて現在の奈良県に位置していた大和国を「真秀ろば」と表現したとされていることが始まりと言われる.
詮ずるところ,日本人にとって奈良県が「素晴らしい場所」であることは自明である(ほんまに.明日香村とかいってみて.まじで)が,僕は思った.「この広い日本,素晴らしい場所と表現できる地は他にもあるんとちゃうか.だって景行天皇そもそも関西から出たことなくね???(知らんけど)」
かくして僕は大学院在学中,全国47都道府県いったことのない街を巡って回ることを決断.当然,通りかかったり一箇所で遊んだってだけじゃその地域のことはわからないと思うので地域内での宿泊が大前提.ちょうどコロナ禍の2年間だったこともあるので下記のような原則を設けて出発したのである...!
- その土地のものを食べる!
- 県庁所在地に踏み入れる!
- ネカフェなどは利用せずに,その土地の宿泊施設で泊まる!
- 緊急事態宣言下の都道府県の県境を跨がない.
- 基本的に2人以下での移動とし,繁華街には不用意に立ち入らない.
- 将来その土地出身の人とその土地のお話ができるように意識して街を見学する!
2022年3月,最後のフロンティア沖縄県に到達し,47都道府県"宿泊"制覇を達成.この後,いろんな方に「どこが一番良かった」かということを尋ねられるんだけども,これって難問中の難問.「どこのラーメン屋が一番好きか」という質問の10倍くらい答えるのが難しい.けど語りたいことはたくさん...
というわけで本記事では思いついた観点別で地方都市・スポットのメモを残しておきたいと思いました!異論は認めます,写真はすべて僕の撮影,コメントは走り書き,順番は北から!
47都道府県 "まほろば"メモ
【観光地としてよく設計されてると思った"まち"】
観光客がその街に何を期待しているかを見越して,その体験のための導線設計を織り込んだ街づくり.すぐに真似できることではないけど,めちゃめちゃ勉強になりました.福井なら「恐竜」,群馬なら「温泉」というコンテンツ,中でも熱海の「温泉」「海」「立地」をフル活用したここ数年での巻き返しには目を見張ります.
【旅先で自治体の取組みが積極的と感じた"まち"】
長岡,北九州のスタートアップ支援やベンチャー誘致への貢献は,手厚くスピーディで非常に自治体さんのやる気を感じられた気がします.西粟倉村は生駒市と同様「SDGs未来都市」に選定されている自治体で,「村民票」アプリの導入などなど小さなまちながらその取組には注目です.
【住み心地よさそうな"まち"】
ちょっと強めのバイアスかかってるので皆さんにもご意見を伺いたいところ.高速道路があって,コンパクトになんでもまとまってる"まち"が住みやすいのかなと思います.
【老後に住んでみたい田舎"まち"】
ここで暮らす老後を想像したことある田舎3選.秩父は何度も人気アニメ作品の舞台になっており「アニメ町おこし」の草分け的存在で活気あり素敵です.日本で一番素敵な食堂がある吉野や瀬戸内海のオリーブ島も捨てがたい.
【城郭】
言わずもがなの名城たち.真冬の鶴ヶ城はここでしか見られない絶景です.別名,白鷺城と呼ばれる国宝姫路城も2015年のリニューアルオープン以降行ってない人はもう一度行ってください!熊本城もここ数年で楽しみ方が大きく変わったスポットです.震災の爪痕と,地域の人々の地元愛を感じることができます.
【寺社仏閣】
出雲大社は,その背景となる歴史の大きさもさることながら,周辺の観光スポット(海岸線,社,海鮮の店)も充実しておりしっかり楽しめるエリアになっています.日光東照宮は間違いなく国内ド派手神社の最高峰.栃木の山の中なのに徳川幕府の栄華すら垣間見える.伏見稲荷も一見さんへのインパクトは負けてません.深夜の散策には要注意.
【史料館】
特筆すべきは鹿児島知覧.かつて太平洋戦争で「特攻」を志願した若い日本兵たちの遺書を始めとした,貴重な史料が多く残されている施設です.鹿児島県を訪れた際には,最低3時間は確保して,歴史を感じて欲しい場所です.
【水族館】
ぼくシャチが大好きなんです!名古屋港水族館では間近で見れます.超かわいい,おすすめです.家族で行くなら海遊館,あと,定番ですが美ら海水族館で見られる巨大ジンベエザメのたて泳ぎも国内屈指の水族館パフォーマンスです.
【博物館】
あえてちょっとユニークな博物館を全国から選抜.鉄道博物館は埼玉の大宮の他,京都にもありますが僅差でこちらがランクイン.福井の恐竜博物館の展示は非常にクオリティが高いのに,入場料もリーズナブルで,文字通り老若男女が楽しめるスポットです.太地町で見られる「くじらショー」もお見逃しなく.
【通るなら寄りたいSA】
- 愛知県 刈谷ハイウェイオアシス 伊勢湾岸自動車道
- 兵庫県 淡路ハイウェイオアシス 神戸淡路鳴門自動車道
- 静岡県 NEOPASA浜松 新東名高速道路
- 群馬県 太田強戸パーキングエリア 北関東自動車道
- 長野県 諏訪湖サービスエリア 中央自動車道
旅の醍醐味サービスエリア.淡路島や伊勢湾岸道の刈谷はドライバーなら行ったことない人のほうが少ないくらいであろう名所ですね.皆さんの街のおすすめSAも教えてください...!
【温泉】
絵に描いたような古き良き日本の夏を味わえる洞川温泉は全国におすすめできる温泉地.絶景に関しては「ほったらかし」と「玉手箱」のツートップ入賞です.これは行かないとわからない,行ってください.東根やあわらにあるような,まちなかで足湯が楽しめる温泉街も雰囲気が楽しめて最高です.
【酒・焼酎】
普段の飲み会は行かないけど,国内宿泊旅行の楽しみの一つは日本酒.新潟のぽんしゅ館みたいな施設はもっと全国にあっていいと思うし奈良にも建てて欲しいですよね.沖縄は(テンションも相まって)古酒クースもorionも美味いし最高.鹿児島の3Mからは森伊蔵がランクイン.
【名物】
これは絞るのほんと苦労しました.まじであと10個は挙げたかった.でもやはり「九州の飯はうまい」という噂は本当でした!それぞれの都道府県名物,お店によってこだわりや雰囲気が違ってくるので,そういう違いの楽しみ方も重要です.
【肉・魚】
そして結局しぼれなかったパターン.魚の王様マグロは,国内では那智勝浦,焼津が有名ですが大間のマグロは別格です.写真載せときます.あと特筆すべきは,山梨のぶどうの皮を食って育ったサーモン(と,そのイクラ),鹿児島のサツマイモを食って育った黒豚でしょうか.きりがないのでこの辺にしておきます,死ぬまでにぜんぶ一度は食べてみてください(店選びでお金をケチらないことがポイント).
【風景】
開き直って10箇所.全部やばいので写真の解説だけしておきます.
和歌山の白浜は自民党の元幹事長が作った国内屈指のリゾートエリアです.ヨットや海水浴も盛んな一方で,パンダで有名なアドベンチャーワールドというテーマパークもあり,自然を満喫する以外の観光アトラクションも楽しめます.
鳥取砂丘はぶっちゃけ思ってたより狭いです.でも,お楽しみはその広さではなく,日本海に面していることから生まれるその景色の移り変わりだと言えるでしょう.写真は夕方の鳥取砂丘で黄昏る立花巧樹です.
熊本の阿蘇山周辺は,大地の恵みとも呼べる絶景の宝庫です.車でのドライブ周遊をおすすめします.特におすすめは草千里ヶ浜.噴煙の上がる中岳をバックに広がる草原でのんびりと飼い放されてる馬たち.たぶん天国ってこんな景色をしてるんだろうなっていう風景が伺えます.
おわりに:日本の発展の鍵は地方都市にあり
全国津々浦々に「まほろば」と呼んでも何ら差し支えのない"まち"が存在している美しい国,日本.
この国がこれから先の時代も,これまでの"まち"の文化を守りつつ発展していくためには,地方創生が不可欠であると考えています.
自然の恵みをそのまま観光に活かしている"まち",これまで人々が紡いできた歴史に支えられている"まち",近年になって新しく街の名物を人々の手で生み出してきた"まち".
これらの強みをうまく活かして,地方都市それぞれが国庫支出金を頼らずとも経済的に自立することが可能な「稼げる"まち"」にしていくことが必要です.
なんのご縁か,僕のバックグラウンドはITということなので,各々の"まち"での強みを生かした取り組みは現地の方々にお任せするとして,AIを中心とする情報技術を活用することで地方創生に貢献できないか日々考えています.
"まち"の特徴問わず応用可能な汎用性,そして都市内のあらゆる資源の分配と循環を最適化する効率性,かつ,効率化によって生まれたスペースに新たな仕組みを構築できる創造性.これらの特性を既存の"まち"に対して実装可能なエコシステムこそが理想的なスマートシティプラットフォーム.
スマートシティときくと,港区竹芝に立っているような仰々しいビルをイメージして地方の風景にそぐわない概念なのではないかと思われたりするかもしれませんが,それは少し間違い.近年の各コンピュータデバイスの小型化やモバイルネットワークの大容量高速化,クラウドやMECの高性能化etc.を鑑みれば,日本中の"まち"に景観を損ねることなく最先端の情報技術を浸透させることは十分に可能だと考えています.理想的な"まち"づくりにどんな可能性を載せていくのか,そんな半分妄想的な議論をする機会を今後も貪っていきたいと思います.
今回の"達成"において,僕が得たものは2つ.
1つは,上記のような議論と思考を重ねるためのたくさんのヒント.
もう1つは,この国をもっと好きになれたというある種の幸福感.
うーん,満足.しかし今回で国内すべての土を踏んだというわけではないので,今後もこれまで見たことのない"まち"の顔を拝みに繰り出していきたいと思っています.今この文章を読んでいる方,たぶん僕が言ってることを面白いと思ってここまで読んでくださってるんだと思います.ぜひあなたの知っている"まち"の顔を教えてください!色んなお話ができれば嬉しいです.
今日はここまで,
短時間で書きなぐったので乱文ご容赦を.