大学院生,代表取締役を1か月やってみるの巻
2021年1月20日,学生起業をやってみました.
音速で時間は過ぎて,法人登記から早1か月.
1か月「代表取締役」という肩書を背負ってみての所感を述べます.
僕たちの会社について
名前は『あいこ』,株式会社 I co.です.
生駒市を中心に奈良県の地方創生を進めていく会社です.地方創生の中でもITの部分での貢献をメインとしており,地域のITリテラシの向上やDXの推進を目指します.
メンバーは僕含め奈良先端科学技術大学院大学の5人.
基本的な役周りとしては,僕が対外的な代表を務め,総括的なマネジメントと事務的な業務,そして「課題を見つけて(仕事をとって)くる」ことを担当します.残る4人には優秀なエンジニアとして,各々の得意を活かして「課題」に対して存分に食らいついてもらっています.
自社HPの方は現在鋭意製作中なのでちょっと待っててください.笑
起業について
学生しながらの起業って,めちゃくちゃ勇気がいりますね.
学生じゃない方の起業はもっと覚悟がいて,もっと後がなくて,もっと大変かもしれないんですけど,ちょっとそちらは体験したことがないので今回は触れません.
「学生」という身分でありながら社会に対してきちんと責任を負えるのだろうかとか,仲間たちがあっさり飽きちゃったらどうしようとか,自分はしっかり仕事をとってこれるのだろうかとか,なんかもう後戻りできなくなるんじゃないかとか.夜ふとんの中でいろいろ考えちゃったりしてました.
そんな不安とあと一応ワクワクも抱えながら迎えた設立日.
いざ登記手続きが完了すると,なんてことなかったっていうのが正直な感想です.登記費用だして書類かいて印鑑おしたら割と簡単に株式会社は出来上がるものです.まさか「平社員」になるより「社長」になる方が簡単だったとは...!
しかしもちろん,別に履歴書に社長って書きたくて起業したわけじゃないのでここからの話が問題です.
事業の滑り出しについて
事業コンセプトは「今の自分たちにできることをやる」です.
今回の会社は奈良先端大の学生たちが持つ技術力と地域社会の課題を結びつけて価値を生み出すための器として設立されました.その特性柄,大幅な拡大や投資により資金調達を目指しません.「今できることをやる」会社なのでそれ以上無理な縛りを作る気もないし,もしかしたら1年後には役割を終えたということで畳んでいるかもしれません.学生が背伸びせず,等身大でできる課外活動を世の中に対して役立てることができる仕組み,プラットフォームを築いていきたいと考えています.
さて,多くの課題解決を目指して「営業とシステム提案を頑張るぞ!」と意気込んだはいいものの,現実世界は完全に想定外の方向へと進んでいきます.
舞い込んでくる案件の数々.
既に社内の開発スケジュールは秋口までいっぱいいっぱい.
学生エンジニアのバイト雇用も複数件ほぼ内定...
あれ...?
営業に駆け回るはずが,そんなことただの1度も行うことなく提案資料や契約書類,その他マネジメント業務に忙殺されることに.確かに嬉しい悲鳴ではあるけれど,覚悟していた不安とは異なる心配要素が転がり込んできて,予想外にてんてこまいです.(呑気にこんな記事を書いてる場合ではない説すらある.笑)エンジニアの皆も,自らの技術力を実社会に実装する,という初めての挑戦にぶちあたり,日夜大奮闘してくれています.
(という訳で現在「お急ぎ開発案件」については受付が出来なくなっておりますが,「ITについてこんな困りごとがあるよー」「これ自動化したいよー」「こんな技術について知りたいよー」くらいのご相談はお気軽に頂ければと思います.)
思ったこと
1.課題って実は探すまでもない
特筆すべきは世の中に眠る課題の数です.いや,「眠る」というよりも集団で闊歩しているという方が適当かもしれません.規模の大小は様々ですが,世の中に困りごとは溢れているんだということを早速肌で体感しています.
僕たちは法人という社会との確かな接点を通じて,数ある課題の中でもITの力を借りればなんとかできそうな部分に対する挑戦権を得ました.この権利をどう行使していくのか,しっかり考えていかなければなりません.今現在は目の前のことで精いっぱいかもしれないけれど,年内には新規事業の打出しも企んでいます.
こんな感じで,実は課題を探すということは難しくなくて,それよりも,目の当たりにしている課題に対して自分にできることや自分の強みをフィットさせる方法を見つけることが一番の難関であるようです.
その方法は今あらゆる形で模索中ですが,少なくともこの1年は全力で試行錯誤を続けていきたいと思います.
2.「何をやるか」よりも「誰とやるか」
これ,スタートアップ系の講演なんか聴いてたら皆言いますよね.僕ももう聞き飽きてうんざりしていたんですが,いやしかし,本当にその通りでした.
今回のメンバー4人は,既に現段階で誰か一人でも欠けていたら成り立っていない状況だと言えるほど,個性豊かで頼り甲斐のあるメンバーです.彼らなくして今回の起業はなかったと思います.
個々の能力はもちろん重要だし,そしてどんなチームでもそれらのマネジメントを行う役割も必要です.
事業を推し進めていく力である「大きな矢印」の中に,
個人の活動経験やスキル,得意などの「小さな矢印」をどう迎合させるか.
この迎合ができるかという部分は完全に個人の相性とマネジメントの担い手に委ねられているので,誰の目線で見ても,本当に「誰とやるか」は重要だと感じました.
3.学生だからこそ「とりあえず起業してみる」はアリ
自分1人でも誰か友達とでも,チーム内に少しでも人が欲しがるスキルと2-30万円の初期資金があるのならば誰でも起業してみたらいいと思いました.
嫌でも経済や法律について少しは詳しくなるし,履歴書に「起業しました」って書けるし,上手くいけば当然お金儲けもできていいことばかり.
会社ってうまくいかなきゃ借金まみれになるイメージがありますが,要は銀行から借りなければ借金なんかできないし,従業員を雇わなければ人件費もかからないし,作った商品やサービスを欲しい人に売る,ということを繰り返すだけで会社は成り立ちます.誰かが欲しいと思う商品やサービスさえ持っていれば困ることは基本的にないのです.もちろん最初の登録にお金がかかったり税金を払ったり,という出費はありますが,少しでもお客さんを見つけさえすればそんな金額は割とすぐに回収できます.
多くの外部資本を受けてスタートアップとして命がけで取り組んでいらっしゃる起業家さんには怒られるかもしれませんが,社会人であれば生活のために最低限の生活費を稼ぐノルマができてしまいますが,学生であればそれは必ずしも必要ではありません.
最低限求められる部分で言うならば,今の学生生活の隙間時間で,自分たちのスキルを買ってくれる人を探すというだけのこと.そして将来的には学生生活が終わるころに会社を畳む,ということもできるし,就活をせずに自分の会社を大きくしていくという選択肢も選べます.
ひとえに起業といっても,株式会社だけでなく合同会社や個人事業主,社会全体への貢献度合が大きいならば一般社団法人,NPO法人の設立といった具合に,様々な選択肢があります.それぞれ経営するのに必要な条件や特徴が変わってくるので,自分の挑戦してみたいことベースにぴったりな「起業の形」を選んでやってみたらいいと思います.「株式会社」の設立ならお手伝いできると思うので興味のある方は声かけてみてくださいね~
以上3点がここ1か月で強く感じたことでした.
長々とこれ以上書いてる時間もなさそうなので今日はこれくらいで.
また節目の時期にでも近況報告させていただければと思います!
謝辞
社会に出てすらいなかった僕がこれまでに書いたようなことを体験できたのは紛れもなく多くの方のサポートがあったからです.
「起業しようぜ」って背中押して,以降絶え間なく勉強と開発に取り組んでくれている4人のメンバー,
「最初の案件」,起業に際して全体的なサポート,メンバーの厄除けまでご提供くださった安養寺田原本の松島住職,
学生と同じ目線でコミュニケーションをとって適切にご指導してくださるだけでなく,イケすぎてるロゴデザインまでしてくださった奈良先端大の「ユビ研」助教の松田先生,
「法人設立」に携わった経験で外部からサポートしてくれる宮地くんなどなど,身近な方々の助けに本当に感謝しています.
仕事を紹介してくれる方,応援のコメントを残してくれる方,いつもありがとうございます.
こういった全ての方々に,巡り巡って何らかの形で貢献できるよう頑張っていきますので今後ともよろしくお願い申し上げます.